特定の楽曲の観察ではなく、分散反復という語が何を指すかを扱うカードである。
ひとつのまとまりが、時間軸に散らばって別々の位置に現れる。これを分散反復と呼ぶ。
音列ではなく和音として捉える
先に現れた並びを核とみなす点では、主題となる音列の扱いに似ている。ところが音列として扱うと、並行・倒置・展開・圧縮という四つの操作が掛かる。四操作は順序か密度を軸にするので、再び現れた側で順序が保たれていなければ、どれとも言い難くなる。
そこで和音として捉える。和音は同時に鳴ることで定義され、構成音に順序を持たない。和音として捉えたまとまりが時間軸に展かれたとき、順序を問う軸そのものが無い。
語は音楽理論の分散和音(アルペジオ)から借りている。
展開とは別である
展開は、もとの並びが順序を保ったまま、あいだに新しい要素が挿入される操作である。順序が保たれることを要件とする。
分散反復は順序を要件としない。結果として順序が保たれていることはあるが、それは要件ではない。両者を分けるのはこの一点である。